「家庭菜園をはじめたい!」と思っても、何から手をつけたらいいか分からない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビギナーさんはまず、野菜づくりの流れを、おおまかにつかんでおきましょう。全体を把握した上で、必要な作業にとりかかれば、野菜づくりがスムーズに進みます。
今回は、野菜の栽培手順についてお伝えします。
家庭菜園のコツ・野菜栽培の手順・作業の内容
一般に、野菜づくりの流れは以下になります。
家庭菜園の手順
1.何を育てるか計画を立てる
2.必要な資材をそろえる
3.土づくりをする
4.タネや苗を植える
5.野菜の成長を見守る
6.はれて収穫!
ひとつずつ見ていきましょう。
何を育てるか計画する
ポイント
・年間の栽培スケジュールをたてる
・次の年の栽培プランをたてる
年間の栽培スケジュールをたてる
野菜の栽培は1年計画で立てます。栽培に適した時期は、大きく分けると「春」と、「秋」になります。それぞれの時期に何を、どのくらい植えるか考えます。
以下は「春植え野菜」と「秋植え野菜」の一例です。計画をたてる時の参考にしてくださいね。
春に植える野菜
タネまき・苗の植えつけ | |
3月 | ホウレンソウ、小松菜、シュンギク、ジャガイモ |
4月 | インゲン、枝豆、オクラ、トウモロコシ、カボチャ |
5月 | キュウリ、トマト、ナス、ピーマン、キャベツ |
秋に植える野菜
タネまき・苗の植えつけ | |
7月 | 大豆、ブロッコリー、カリフラワー |
8月 | ニンジン、キャベツ |
9月 | ホウレンソウ、水菜、タマネギ、白菜、ダイコン |
10月 | シュンギク、イチゴ・ソラマメ、サニーレタス |
葉ものや根菜類は、比較的育てやすくてビギナーさん向けです。一方、白菜やキャベツなど、葉っぱがまく物は、やや上級者向けになります。
以下は育てやすい野菜を中心にした、植え方の一例です。
家庭菜園におすすめの野菜
【春】キュウリ、トマト、ナス、ピーマン、トウモロコシ、オクラ、小松菜
【秋】タマネギ、水菜、大豆、シュンギク、ダイコン、ニンジン、サニーレタス
次の年の栽培プランを立てる
1年の栽培スケジュールとともに、次の年の栽培プランも立てておくことをおすすめします。同じ畑に同じ科の野菜を続けて植えると、生育が悪くなる「連作障害」が起きることがあります(たとえば、ナス科のトマトの後に、同じナス科のナスを植えるなど)。これは土の栄養が偏ったり、特定の野菜に対する害虫や有害な菌が増えるためです。
1年目に何の野菜をどこに植えたかを記録しておき、次の年は違う科の野菜を植える「輪作」を心がけます。
下の表は、各野菜について連作を避けるべき期間です。たとえば、「2年」のインゲンは、1年目に植えたところに再び植える場合は、2年間はあけた方がよい、という意味です。
連作を避けるべき期間(年輪制限)
年輪制限 | 野菜 |
なし | カボチャ、サツマイモ、ダイコン、タマネギ |
1年 | ホウレンソウ、ミツバ |
2年 | インゲン、キュウリ、キャベツ、ハクサイ、ジャガイモ |
3~4年 | トマト、ナス、ピーマン、カリフラワー |
必要な資材をそろえる
道具をそろえる
栽培スケジュールを立てたら、畑作業に必要な道具をそろえます。ホームセンターなどで手に入るので、手頃な価格で使いやすい物を選びましょう。基本的な道具は以下になります。
まずそろえたい家庭菜園の道具
クワ・スコップ・移植ゴテ・園芸バサミ・じょうろ・ポリマルチ(畝の表面を覆うシート)・防虫ネット
作業をしていくうちに、茎を安定させるひもや支柱など、必要な道具が出てくるので、その都度そろえていきましょう。
クワ
移植ゴテ
園芸バサミ
堆肥(たいひ)と石灰資材をそろえる
土を作るために、堆肥や石灰資材(畑の土をアルカリ性にする資材)も用意します。ホームセンターや園芸店には、いろいろな種類の堆肥があるので、お店の人に聞いたりして、栽培する野菜やその土地に合った堆肥を選びましょう。
代表的な堆肥と石灰資材は以下になります。
堆肥 | |
油かす | 植物の種から油を抽出した後に残ったかす。 土壌の微生物の活性化に効果がある。 |
腐葉土 | 落ち葉を発酵させたもの。土をふかふかにする。 |
牛ふん堆肥 | 牛ふんをワラなどと混ぜて発酵させた動物性の堆肥。土壌改良にも効果がある。 |
発酵鶏ふん | 鶏ふんを発酵させた堆肥。 |
石灰資材 | |
苦土石灰 | 石灰(カルシウム)と苦土(マグネシウム)を含み、酸性の土を中和する。効き目が穏やかで扱いやすい。 |
堆肥
化学肥料は適切に使おう
堆肥や石灰資材の他に、植物への養分を人工的に作った化学肥料もあります。野菜の成長に即効性がありますが、一方で土への養分が含まれていないため、使い過ぎると土がやせて野菜の育ちが悪くなります。メリットとデメリットを知った上で上手に使うことをおすすめします。
化学肥料
土づくりをする
タネまきや苗の植えつけをする前に、土を耕して肥料をまきます。タネをまく前の一般的な土づくりは、以下の手順になります。
土づくりの手順
3週間前:堆肥をいれる
2週間前:石灰をいれる
1週間前:もう一度堆肥をいれる
雨の翌日など水分が多いときに土を耕すと、土が固まってしまうので、よい天気が続いた日に耕しましょう。
畝(うね)をつくる
土を耕したら、畝(やさいを育てるための盛り土)をつくります。ほとんどの野菜は、畝幅30cmで作ることができます。畝と畝の間は30cmとります。
畝の高さは、土地の水はけによって変わります。水はけのよい土地ならば、高さ20cmほど、水はけが悪い所は30cm以上高くします。
タネをまく・苗を植える
タネや苗はホームセンターや園芸店、通信販売などで手に入ります。袋の裏やラベルに栽培に適した時期や気温、有効期限などが書いてあるので、参考にします。作りやすい品種、よく売れている品種などをお店の人に聞いて購入すると、安心です。
タネまき・苗の植え方のコツ
・栽培期間を守ってまく
・なるべく新しいタネ・苗を使う
・水やりをしっかりする
二十日大根のタネ
野菜の成長を見守る
ここからが、野菜づくりの醍醐味を味わえる時。少しずつ大きくなっていく苗。うっかり水やりを忘れて枯れそうな葉っぱ。鳥や虫にかじられる実。ハラハラ、ドキドキの連続です。
主な作業は以下になります。手をかければ、それだけ野菜は元気に育ちます。時には話しかけたりすると喜びますよ!
野菜を育てるための作業いろいろ
・間引き(元気な苗を残し、残りの苗を抜く作業)
・マルチシートを土の上にかぶせる
・ネットがけ(防虫・寒さ対策)
・支柱たて
・肥料・水やり
・土寄せ(土を株元に寄せてかぶせる)
マルチシート:防寒・防虫・雑草よけなどの効果がある
はれて収穫!
野菜が十分に育ったら、いよいよ収穫です。それぞれの野菜には、適切な収穫時期があるので、タイミングを逃さないようにします。収穫時期は、タネの袋に説明があるので確認しておきましょう。
また、野菜は自ら収穫のサインを出してくれます。たとえば、「ジャガイモは、葉っぱが黄色くなって倒れてきたら収穫のタイミング」といった具合です。
野菜づくりの本やインターネットなどで、そんな野菜の性質を調べるのも、おもしろいですよ!
栽培の流れを知って家庭菜園にトライしましょう
「家庭菜園は、時間がかかって大変そうだなあ」と思いましたか?いえいえ、大丈夫。作業の一連の流れを頭に入れておくと、野菜の栽培をスムーズに進めることができます。
四季の変化を感じながら、少しずつ大きくなる野菜を育てていくのは楽しいもの。みなさんも、家庭菜園をはじめてみませんか。
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