家庭菜園では、「よい土ができればまず成功」と言われるほど土づくりが大切です。でも、どこから手をつけたらいいのか、迷ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、よい土とは何か、どうすればよい土になるのか、詳しく説明していきます。ポイントをおさえれば、おいしい野菜が育つ土をつくることができます。
土づくりのコツをつかんで、ぜひ野菜づくりに挑戦してくださいね。
目次
家庭菜園のコツ・よい土とは?
野菜がすくすく育つよい土の条件
よい土とはどんな土でしょうか。手で触るとフカフカで柔らかく、栄養を適度に含み、たくさんの生き物が棲んでいる土です。
ちょっと難しく言うとこんな感じです。
よい土の条件
・水はけがよく、保湿性、通気性がある
・酸性・アルカリ性が適切に調整されている
フカフカの土は、大小の土の粒が「だんご状」にくっついた状態になっています。粒と粒の間にすき間ができるため、水はけがよく空気が通ります。一方で、だんごの間に、野菜に必要な水や養分がたまります。
だんご状の土(左)と粒にすき間がない土(右):熊本県HPより
土をだんご状にするのは土の中の生き物たち。たとえば、ミミズは枯れた植物や根を食べて、粘膜と一緒にフンをします。そのフンが土の粒や植物の破片とくっついて、「だんご」ができます。
だんごの間には微生物が棲み、フンや有機物をさらに分解して野菜の養分を作ります。
土づくりの最大のポイントは、いろいろな生き物が元気に活動していること。生き物が少なく、土の粒の大きさが一定の畑は、粒と粒の間にすき間がなく雨が降ると固くしまってしまいます。
おいしい野菜をつくる土づくりのコツ
フカフカの「よい土」をつくるためのポイントは以下の2つになります。
・しっかり土をたがやす
・適切な養分や肥料をあたえる
シンプルですね!一般に、土づくりは以下の手順で行います。
土づくりの手順
(1)土をたがやして堆肥をいれる(タネをまく3週間前)
(2)石灰をいれる(2週間前)
(3)もう一度堆肥をいれる(1週間前)
雨の翌日など水分が多いときに土をたがやすと、土が固まってしまうので、晴天が続いた日にたがやします。具体的な作業を見ていきましょう。
土を深くまでしっかりたがやす
クワやスコップで30センチ以上たがやす
特にはじめて野菜づくりをする場所は、十分にたがやす必要があります。土が固いと野菜の根が育ちません。クワやスコップなどで、土の上下を入れ替え、空気を通すように深さ30センチ以上掘りかえします。
クワは、刃の先が平たい「平グワ」とフォーク状になっている「万能グワ」の2つがあると、便利です。平グワやスコップで大きく土を掘り返し、万能グワでさらに土を細かく砕きます。
土の中にある石は、ていねいに取り除きましょう。石が残っていると、土の中で根が大きくなるダイコンやニンジンは、二股や三股に割れてしまうことがあります。
土に石があると、根菜は二股や三股に割れてしまうことも
土をたがやす作業は慣れないとかなりの重労働。ふだん運動不足の人は、はりきって腰など痛めないように気をつけてくださいね。
たがやすのが大変、という方は、耕耘機(こううんき)を使うのもひとつの方法です。ホームセンターや園芸店などで購入できます。レンタルもあるので、興味のある方は「耕耘機」「レンタル」などで、検索してみてください。機種にもよりますが、1日のレンタル料は3000円くらいから(燃料代別)になります。
ガソリンで動くタイプの耕耘機:1回の補給で2時間ほど使えます
土の養分や肥料を入れる
土をたがやしながら、養分や肥料をすき込みます。園芸店などでは、堆肥(たいひ)や肥料、腐葉土など、いろいろな資材があって、ビギナーさんは何を選んでよいか迷ってしまうかもしれません。そんな時は、どんどんお店の人に聞いてみましょう。
ちなみに、「堆肥」は植物や動物のフンなどの有機物を発酵させたもので、主に土の養分として使います。「腐葉土」は、落ち葉や枝などの植物を発酵させた「土」です。「肥料」は、化学的に合成された養分で、主に植物が直接取り込みます。
養分や肥料を選ぶポイント
・何を育てるか
・いつから育てるか
・どんな土の状態か(はじめて野菜をつくる、2年目になる、土が固い、など)
・有機栽培をしたい(化学肥料は使わない)、あるいは化学肥料を使う
土の養分でおすすめなのは堆肥(たいひ)です。「かさ」があるので土の中に入れると、フカフカになります。
また、堆肥は土の中の虫や微生物のエサとなり、生き物のフンや分泌物が土の養分になります。さまざまな微生物が増えることで、特定の微生物が増えて起こる病害虫の発生を抑える効果も期待できます。
堆肥の効果
・土がフカフカになる
・土の養分が増える
・病害虫の発生が抑えられる
一般に堆肥の量は、1平方メートルあたり2~3kgが目安です。育てる野菜や土地の性質によって多少変わりますので、適切な量を園芸店などで聞いてみましょう。
適切な酸度に調節する
野菜づくりでは、土に養分を入れるだけでなく、土の酸度(pH値)を整えることも大切です。日本の土壌は、雨でミネラルやカルシウムが流されやすいため、酸性になりがちです。ほとんどの野菜は、pH6.0~6.5の弱酸性でよく育ちます。ちなみにpHは、0(酸性)~7(中性)~14(アルカリ性)です。
土の酸度は、酸度計や酸度溶液で計ることができます。ホームセンターや園芸店で手に入るので、できれば土の酸度を測って調整することをおすすめします。
酸度の調整には石灰資材を使います。石灰はアルカリ性で、酸性の土を中和する働きがあります。ホームセンターなどには、「消石灰」や「有機石灰」などいろいろな石灰資材があります。
おすすめは「苦土石灰(くどせっかい)」です。効き目が穏やかで、家庭菜園ビギナーにも扱いやすい資材です。苦土石灰の使用量のめやすとしては、1平方メートルの畑に1握りまくと、土壌の酸度が0.5pH上がる(アルカリ性に傾く)と覚えておいてください。
土の酸性度や育てる野菜によって、苦土石灰の量を調節し、タネまきの1~2週間前に堆肥と一緒にすき込んでよく混ぜておきます。
以下の表は、野菜が好む土の酸度です。参考にしてくださいね。
酸度(pH) | 野菜 |
5.0~5.5 | サツマイモ、サトイモ、ジャガイモ |
5.5~6.5 | カボチャ、キュウリ、ダイコン、トマト、ナス |
6.0~6.5 | キャベツ、ニラ、白菜、レタス |
6.5~7.0 | インゲン、タマネギ、ホウレンソウ |
土づくりのコツをつかんで、おいしい野菜をつくりましょう
野菜にとって「よい土」とは、虫や微生物、菌など、さまざまな生き物が元気に生きている土。何億という生き物が息づいている土で育てると、生命力のある味の濃い野菜になります。
そんな野菜をいただけば、人間も健康になること間違いなし!ぜひ、よい土づくりのコツをつかんで、家庭菜園に挑戦してください。
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