桜が散ってゴールデンウィークの頃になると、樹々の緑が深まってきますね。この季節、園芸店やホームセンターには、たくさんの種類の苗が並び始めます。
寒さが一段落した時期が、夏野菜を植えるタイミング。今回は、春の家庭菜園でやっておきたい作業を月ごとにお伝えします。参考になればうれしいです。
春の家庭菜園の作業
・土作り
・タネや苗を選ぶ
・作付け
・遅霜対策
・病害中対策
家庭菜園・春に準備しておきたい作業と道具
4月
土作り
夏野菜を植える時期は、4月末から5月上旬が適しています。しっかり土作りをすることが、野菜作りを成功させる秘訣です。以下は、タネまきや苗植えをする前に、やっておきたい土作りの手順です。
1.3週間前:土は30㎝ほどの深さまで耕し、堆肥(たいひ)をすきこむ
2.2週間前:石灰をすきこむ
3.1週間前:もう一度堆肥をすきこむ
堆肥は土への養分です。小さな畑で野菜を育てる場合、腐葉土や牛ふんが効き目が穏やかで扱いやすいです。石灰は、酸性に傾いた土をアルカリ性へ中和する働きがあります。苦土石灰(くどせっかい)、カキ殻石灰などが効き目がやさしいのでおすすめです。
日本の土壌は雨が多く、アルカリ分が流れて酸性に傾きやすくなっています。ほとんどの野菜は、6.0~6.5pHの弱酸性の土でよく育ちます。家庭菜園の本などには、「酸度計ではかって適量の石灰をまく」と書いてあります。酸度計で測れば酸度の間違いがなくて安心です。
ただ、私のまわりでは酸度計を使っている方はあまり見ません。「とりあえず石灰を適当に入れとけば間違いはない」と、家庭菜園の先輩方がおっしゃるので、わが家も袋に書いてある目分量を参考に、適当にまいています。家庭菜園2年目ですが、いまのところはどの野菜もまずまずの出来で、この方法で大丈夫なようです。
土作りは>>こちらも参考にしてくださいね。
【保存版】家庭菜園のコツ 「よい土」づくりの方法を徹底解説!
道具・資材をそろえる
野菜を育てるために必要な道具や資材をそろえます。
ビギナーさんは、まず必要最低限の道具を用意して、後から必要なものを足していく方法をおすすめします。タネまきや苗植えの時期は、少ない道具で作業ができます。
私は、市民農園の先輩の道具を観察したり、質問したりして、少しずつそろえました。「これあげるよ」「何でも使っていいよ」なんて、気前のいい方もいらして、シャベルやカマ、ハサミ、椅子などシェアさせていただいています。
家庭菜園のスタート時にそろえたい道具や資材は、以下になります。
・スコップ
・移植ゴテ
・ジョウロ
・マルチシート
・ハサミ
・支柱
・ひも
・長ぐつ
・肥料(腐葉土や牛ふん)
・石灰(苦土石灰やカキ殻石灰)
だんだん日差しがきつくなってくるので、日焼けが気になる方は、帽子や手袋なども必需品です!長ぐつは、どろどろの畑で大活躍するので、そろえておきたいアイテム。今はオシャレなデザインのものがたくさんあります。夏は暑いので、私ははだしで作業することもあります。土のエネルギーを感じられて気持ちいいです。
必要な道具については>>こちらも参考にしてくださいね。
【保存版】家庭菜園のコツ・基本の道具・選び方・使い方を徹底解説します。
5月上旬
タネや苗を買う
土作りが一段落したら、タネや苗を手に入れます。4月の後半くらいから、園芸店やホームセンターなどに苗が出始めます。野菜はタネから育てる方法もありますが、ビギナーさんは苗を植える方法が失敗が少ないのでおすすめです。
気をつけたいのは購入のタイミング。苗の植えつけは、遅霜の心配がなくなるゴールデンウィーク明け頃からがおすすめです。早く植えすぎると、寒さで苗が弱ってしまうことがあります。5月初めまでは、お店をのぞいてどんな苗が出ているかチェックしておくといいですね。同じ野菜でも、いろいろな品種があって見ているだけで楽しいものです。
私は、店員さんにどんな苗がおすすめか、できるだけ聞くようにしています。店員さんは、地域の気候や土の性質をよく知っているので、育て方のコツや植える時期などを教えてもらうと参考になります。土地によって、苗植えに最適な時期や品種が変わってくるので、ぜひ店員さんにたずねてみてください。
お店では、お客さんがどんな苗を選んでいるかも観察しています。ナスやトマトの苗をどっさり買う人を見ると、「広い畑があるんだろうな」とか、わが家では育てないゴーヤを買っている人を見ると、「あの家の人たちはゴーヤが好きなんだ」など、人の食卓が目に浮かんできて、これもまた楽しいものです。
キュウリを選んでいる人に、「どのキュウリがおいしいですか?」と聞くと、「イボのあるキュウリは固いよ」「漬け物にするならこのキュウリ」などと教えてくださり、勉強になります。
苗の選び方については>>こちらも参考にしてください。
【保存版】家庭菜園のコツ・失敗しない苗(なえ)の選び方・種類とは?徹底解説
タネまき・苗植え
5月上旬は、夏野菜を中心に苗を植えたり、タネをまいたりします。この時期に植える代表的な野菜は以下になります。参考にしてください。
苗を買ったらなるべく早く植えます。ポットから出す時に、手で受けて根を崩さないように土に埋めましょう。植えた後は忘れずに水をあげます。水、光、適切な温度が発芽には必要です。
トマトやキュウリ、ナスは苗がぐらつかないように、茎をひもで支柱に結んでおきます。5月でも寒い日があるので、マルチシートや切りワラなどをかぶせておくと安心です。
支柱にゆったりと茎をくくりつけます
5月に植える野菜
苗植え | タネまき |
ミニトマト
キュウリ ナス ピーマン キャベツ サツマイモ トウモロコシ オクラ |
ホウレンソウ
コマツナ インゲン リーフレタス |
5月中旬~下旬
病害中対策
梅雨になると、病害虫の被害にあいやすくなります。梅雨の前に防虫ネットをかけるなどの対策をとります。殺虫剤を使うことも一つの方法です。いろいろな薬品があるので、どの野菜にどの薬品が聞くのか、お店の人に聞いたり、調べたりしてみてください。
ちなみに私は殺虫剤は使いません。家族が食べるので、安全な野菜を作りたいからです。ハクサイが虫に食べられてレース状になったり、サトイモの葉っぱに10㎝もある巨大イモムシがいて、腰が抜けそうになったりします。
でも、ハクサイは中の柔らかい葉はなんとか無事に育ちます。外側の葉っぱは虫におすそわけ、と思っています。巨大イモムシも、こわごわシャベルですくって他の所に移動させて、退散してもらいます。万が一、野菜が育たなかった場合はあきらめて、「次の年にがんばるぞ!」と思っています。こんな贅沢な育て方ができるのは、収穫量を気にしてくていい家庭菜園ならではかもしれません。
6月
病害中対策&収穫
本格的な梅雨に入ります。できれば畑にこまめに足を運んで、虫や病気の被害がないかチェックしましょう。虫を見つけたら退治する、病気の苗や葉があれば、すぐに切り離して他の野菜に病気が移らないようにします。
私の市民農園では、イチゴを作っている方が多いのですが、ナメクジに食べられることがあるようです。ナメクジは賢くて、表から見えないようにイチゴの裏側を食べるそう。「無農薬で孫のためにつくってる」というおじさんは、収穫したイチゴにナメクジを発見して、大変ショックだったそうです。みなさんも、イチゴを育てる場合は裏側をチェック!です。
6月になるとトマトやナスなどの夏野菜が少しずつ収穫できるようになります。とれたての野菜の味は格別です。私は畑でミニトマトやキュウリにかぶりついたりしています。これも家庭菜園の醍醐味ですね。
家庭菜園・春に準備すること・おすすめの野菜
オクラの花
春は、土作りから始まり、タネまきや苗植えと忙しい時期です。苗を植えるタイミングを逃すと、うまく育たないこともあります。スケジュールをしっかり立てて作業を進めていきましょう。
私がおすすめする夏野菜は、ミニトマト、キュウリ、ナス、トウモロコシ、ししとう、オクラ、ピーマンなどです。比較的育てやすくて、毎日使える食材です。
特にオクラは秋までの長い間、収穫を楽しめます。最後の方は飽きてしまって、そのままほったらかしにしておくのですが、そうすると巨大なオクラに育ちます。夏の終わり頃になると、「こんなに大きくなるのか」と思うほどのお化けオクラが、市民農園のあちこちで見られます。
スーパーの野菜とは違う野菜の姿を知ることができるのも、家庭菜園ならではの楽しみです。
初心者にオススメの野菜の作り方はこちらも参考にしてくださいね。
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ビギナーさんが手軽に家庭菜園をはじめられる農園もあります。
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