初夏から梅雨にかけては、虫の活動が活発になる季節。家庭菜園では、虫の被害をどう防ぐかが、野菜の育ち具合を左右します。
肥料をあげ、水をあげ、ていねいに育てたおいしい野菜。そりゃ、虫もよってきます。自分や家族が食べるものなので、できるだけ安全な方法で虫に退散してもらいたいですね。
今回は「農薬に頼らずに虫の被害を少なくする方法」について説明します。
目次
家庭菜園のコツ・虫の被害を少なくする方法
虫の被害にあう原因は、大きく2つあります。「野菜が弱い」ことと「虫が育ちやすい環境にある」こと。
野菜は、水はけや風通しが悪い環境では生育が悪くなり、抵抗力が弱まります。また、肥料が多すぎると「栄養過多」になり、多くの虫が寄ってきます。こうした環境を作らないことで、ある程度虫の被害を減らすことができます。
虫の被害にあう原因
・野菜の抵抗力が低い
・虫が育つ環境にある
元気な野菜を作る
肥料は適量を
園芸店に行くと、いろいろな肥料がどっさりと置かれています。プロの農家さんや家庭菜園をしている人は、人工的に作られた「化成肥料」を使う人が多いと思います。化成肥料は即効性があり、野菜が大きく育ちます。ただ使い過ぎると野菜が栄養過多になり、いわゆる「メタボ」になってしまいます。メタボになると、野菜の抵抗力が弱ったり、虫が集まりやすくなったりします。ついつい肥料は多めに使ってしまいがちですが、袋に書いてある適量を守ってまくようにしましょう。
肥料のあげすぎを避けるために、化成肥料は使わず、堆肥(たいひ)を使うことをすすめている専門家もいます。堆肥は動植物の有機物を微生物で発酵させたもので、「牛ふん」や「ボカシ肥」などがあります。効き目が穏やかなので、比較的使い過ぎる心配がありません。
私は牛ふん派。ただ、肥料が少なすぎると思うような収穫量にはなりません。去年、キュウリがすぐに丸まってしまい、まっすぐに育ちませんでした。園芸店のおばちゃんによると「肥料が足りないから。化成肥料を使わないと」ということです。でも、化成肥料で大きくするのには抵抗があるんですね。「丸まってもいいや」と思って丸いキュウリを少量収穫しました。どの肥料を使うかは、店員さんに聞くなどして、ご自身で判断してみてくださいね。
日当り・風通し
日当りが悪いと、野菜が光合成を行えず育ちが悪くなります。また風通しの悪いところは虫が棲みつきやすいので、苗を植える時に十分に間隔をあけ、葉が茂ってきたら間引きをして風通しを良くしましょう。
多くの虫は高温・多湿の環境を好みます。畝(うね)を高めにする、湿度の高い時は水をあげすぎないなど、水はけのよい環境を作るよう心がけます。
いろいろな道具で虫を防ぐ
地道に手で捕獲
虫や虫の卵を見たらすぐ捕獲します。手間がかかりますが、一番確実な方法です。テントウムシやアオムシは、葉っぱの裏に卵がをびっしり産みつけるので、この時点で取り除けば、被害を未然に防ぐことができます。
キャベツやブロッコリーは、アオムシの大好物。緑色のフンをするので、それを頼りに探します。葉っぱの間や裏にいることが多いです。私は、見つけたらシャベルですくって遠くの空き地に退散してもらいます。
去年は、サトイモの葉っぱに10㎝くらいの巨大なイモムシが全部で10匹ほどいて、腰が抜けるほどびっくりしました。セシジスズメというガの幼虫ですが、数日で巨大化するので突然出現したような錯覚に陥ります。一日で葉を食い尽くすと言われ、見つけ次第すぐに駆除する必要があります。大きいので見つけやすいのですが、グロテスクで怖かったです。虫に食べられた葉は病気にかかりやすいので、すぐに切り離して処分します。
防虫ネットを使う
防虫する道具でかかせないのが、ネット。網目の大きさもいろいろあって、避けたい虫の大きさに合わせて選びます。ただ、あまり目が細かいと通気性が悪くなり、野菜がしおれてしまったりするので注意が必要です。1mm前後の大きさが適当です。
ネットを張るときは、裾から虫が入らないようにしっかりおさえます。暑くなってくると、ネットの中はかなり高温になります。時々天気の良い日にネットの裾をあげて風を通してあげると、野菜も気持ち良さそう。すくすく育ちます。
忌避材を使う
ハクサイやキュウリ、トマトなどに寄ってくるアブラムシ。小さくて大量に固まっているので、駆除するのに手間がかかります。私はシャベルや棒で削ぎ落としています。アブラムシは光を反射するものが嫌いだそうで、防虫用の銀色のテープなどが市販されています。私は使ったことがないのですが、時々きらきら光るテープを支柱にぐるりと巻きつけている畑を見かけるので、効果があるのだと思います。
また、CDやDVDを吊るしている人もいます。こちらは、鳥よけも兼ねていると思いますが、いろいろ試して効果をみるのも楽しいかもしれません。
農業技術で防虫する
輪作をする
「輪作(りんさく)」とは、同じ場所で次の年に違う科の野菜を育てる方法です。同じ科の野菜を毎年同じところに植えると、土の中の微生物や病害虫、栄養が偏り、野菜の育ちが悪くなります。輪作することで、土壌の生き物や栄養素のバランスが保たれ、野菜の成長を促すことができます。
野菜の科の分類は以下になります。
科 |
種類 |
キク科 | レタス、ゴボウ、シュンギク |
ウリ科 | キュウリ、カボチャ、メロン、スイカ |
ナス科 | なす、トマト、ピーマン、ジャガイモ、トウガラシ |
アブラナ科 | ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、ダイコン、カブ |
セリ科 | ニンジン、ミツバ、セロリ |
また、野菜によって栽培の間隔を空けた方がよい年数があり、これを「輪作年限」といいます。野菜を植えるときは、輪作年限も参考にします。
主な野菜の輪作年限です。
輪作年限 |
野菜 |
なし | カボチャ、サツマイモ、ダイコン、タマネギ |
1年 | ホウレンソウ、ミツバ |
2年 | インゲン、キュウリ、キャベツ、ハクサイ、ジャガイモ |
3~4年 | トマト、ナス、ピーマン、カリフラワー |
上の表を参考にすると、たとえばトマトを植えたところには、その後3年間はトマトやナス、ピーマンを育てないようにします。輪作年限を守ることで、元気な野菜を育てることができます。
病気に強い品種を選ぶ
タネや苗によっては、虫や病気に強い品種に改良されたものがあります。トマトやナス、キュウリなどは、「接木苗(つぎきなえ)」と表示してある苗が売っています。これは、カボチャなどの病気に強い苗に、トマトやナスの苗を接ぎたして育てたもの。普通の苗に比べて割高ですが、ビギナーさんは、こうした品種を選ぶことも、防虫対策の一つになります。
市販されている夏野菜(トマト、キュウリ、ナスなど)の苗は、接木苗のものが多いです。ラベルなどに書いてあるので、チェックしてください。
市販の夏野菜の苗は接木苗のものが多い
またタネを購入する場合、袋に「抵抗性」や「耐病性」などの表示があるものがあります。これは特定の病気に強い品種に改良されたものです。こうした情報もタネ選びの参考になります。ぜひ手にとって確認してみてくださいね。
太陽熱を利用する
土の中の病原菌や虫を駆除するために、太陽熱で土を消毒する方法があります。何も植えていない土にマルチシートをかぶせて1ヶ月ほどおいておきます。真夏にすると効果が高く、土が高温になり菌や虫が死滅します。
私は去年の秋にマルチシートをかぶせて消毒しました。先日夏野菜を植えたところなので、野菜が元気に育つかどうか様子を見ています。結果はまた報告しますね!
家庭菜園のコツ・防虫対策をして元気な野菜を育てましょう
虫から野菜を守ることは簡単ではありません。でも工夫をすれば農薬を使わなくても、ある程度防虫することができます。いくつかの方法を組み合わせれば効果は倍増します!
虫だっておいしい野菜を食べたいはず。ハクサイやキャベツの外側の固い葉っぱは食べてられてもいいかな、なんて思っています。ハクサイなどは、テントウムシの幼虫に食べられて、見事なレース状になります。逆に、スーパーで売られているきれいなハクサイを見ると、「どれだけ農薬を使っているんだろう」と複雑な気持ちになったりします。こんな発見があるのも、家庭菜園をしているからですね。
みなさんもぜひ、野菜作りにトライしてみてくださいね。楽しい発見がいろいろあります。
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